ふと、Googleで「現地採用」というキーワードを入れると、検索候補として挙がってきたのが「現地採用 悲惨」、「現地採用 やめとけ」でした。笑
海外で現地採用による就業を考えている人に読まれるのか、実際に現地採用として働いている人の叫びなのかは分かりませんが、実際に東南アジア数カ国で現地採用を経験した私が本音でメリット・デメリットを語ってみようと思います。
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簡単に思いつく現地採用のデメリット5選
1.「駐在員」と「現地採用」という階級差
日本に普通に暮らしていて正社員として働いていたら、同じ職場で働いていてもほとんど皆同じ正社員として働いているケースがほとんどだと思います。
もちろん、事務職、派遣、パートなどの雇用形態はあると思いますが、正社員と言う分類の中に階層はありません。
ただ、海外の現地法人においては同じような仕事をしていても、日本にはない「駐在員」と「現地採用」みたいな2つのレイヤーが産まれます。
上級国民という言葉が流行りましたが、そういった階層差といのは今まで経験したことがない人が多く、それが持つブランドの差に苦しめられる人がいます。
なので、周りの目を気にしてプライドが高い人などはそういった2つの階層がある社会に耐え切れないかもしれません。
2.現地採用の給与が安い
言うまでもなく、日本で働くのと、海外で現地採用として働くのでは給与や待遇に圧倒的な差が生まれます。
例えば一番渡航先として人気のあるタイなんかは、一般的な営業マンの給与は額面で月収50,000-70,000バーツくらいです。日本円にすると、月収175,000-245,000円くらいです(1バーツ=3.5円で計算)。
額だけ見ると日本での新卒の給与くらいです。30歳前後の人がタイに転職となれば日本での給与より下がるケースがほとんどでしょう。
よく物価が安いのでというのが、次の返しとして出てきますが、生活費は実際はタイも日本も変わらないです。
正確に描写すると、40バーツ(140円程度)のタイ料理があるのは安いが、マクドナルドとかで言うとタイの方が高いです。日本料理を食べると日本と同じ物価です。
ただ、確かにタイの方が確実に安いのが家賃です。日本で言うプールやジム付きのタワマンに10,000-15,000バーツくらいから住めます(35,000-52,500円程度)。
生活費の家賃が占める割合と言うのは大きいですから、家賃が与えるインパクトを考えるとタイの生活費は下がります。
日本だと東京で一人暮らしのアパートで10万円、地方で5万円くらいでしょう。プール・ジム付きの家に住む文化なんてそもそもないですよね。
3.目に見えない隠れた待遇・福利厚生も劣悪
給与の話をしましたが、実生活では感じにくいのが保険や手当。
日本本社からの駐在員はザっと思いつくだけでも、家賃手当、駐在手当、年金、運転手付き社用車、子供の学校代、手厚い保険、経費権限、日本行きのチケットなど裏で享受できる福利厚生がたくさんあります。
給与に論点がいきがちですが、隠された待遇が圧倒的に違うのです。
会社によって差がありますが、これが駐在員のコストは現地採用の2-3倍以上あると言われるゆえんです。
4.雇用が不安定
日本は解雇規定が厳しく、人をクビにできないことで有名ですよね。
徐々に変わりつつありますが、日本では一度雇用してしまったら、従業員が犯罪でも起こさない限り解雇することが厳しいです。
なので、日本では社会にとって労働者の流動性が低いのは悪ですが、働く人からすれば終身雇用で定年まで会社にしがみつけるので雇用の安定感があります。
一方、現地採用は現地法人が雇用もとで、現地の法律に基づいて雇用されているので、日本と違い比較的簡単にローカルのスタッフと同様に日本人でも解雇される可能性があります。
もちろん日系企業のレピュテーションや日本人同士の慈悲と言うのがあるので、パフォーマンスが低いからと次々に日本人をクビにすることは実際は少ないですが、リストラされるケースも現実として実際に発生することと隣合わせで働くのは恐ろしいですよね。
または、海外のビジネスがうまくいかなければ現地法人の解散ということもありえます。
海外に単身で渡航した場合、親などの身寄りもないですからより不安ですよね。
駐在員は日本雇用なので、パフォーマンスが低かったり、英語が話せなくても解雇されることはなく、あっても日本に早期にもどされるくらいでしょう。
現地採用でも日本への帰任と合わせて本社側で雇ってくれることもあります。
5.キャリアパスが描きにくい
現地採用という働き方が今では広まってきましたが、昔は実例があまりネットなどでシェアされてこなかったので、ロールモデルが存在しませんでした。
実例がない分キャリアパスと言うのが、描きにくく、日本に本帰国した人の経歴を追うことは難しいので、現地採用のその後のキャリアというのが見えにくいです。
また、日本に本帰国するにも「現地採用のときの給与をベースに次の転職先の給与を見られてしまう」「35歳転職限界説(今では少子高齢化で変わりつつありますが)で日本の会社での雇用も難しい」など、現地採用ならではの悩みというのもあります。
現地法人は日本本社のような従業員人数の規模がないので、その分だけ相談相手やロールモデルが少ないです。
海外現地採用は本当に悲惨か?答えはNo!
ここまで現地採用の悲惨な状況や、冒頭で話した「やめとけ」というアドバイスを裏付けするようなデメリットをたくさん並べました。
では、現実はどうかというと、自分の中で割り切れれていて、他者と比べなければ、全く悲惨ではないです。
結局、日本から海外現地採用で働くという決断をした時点で、「海外で働く」という目標達成のために、「良い給与や安定したキャリア」を捨てて来ているわけです。
その引き換えがそのまま現実となっただけです。
また、人間の他者と比べるという習性は日本にいても変わらないと思います。
お金持ちの家庭に生まれて良い暮らしをしている人、年収1,000万円、容姿端麗、実業家、結婚して子供いて幸せに暮らしている人、モテる人、周囲から気に入られる人、明るい人、英語が話せる人、なにをやっても新しいことを吸収できる能力、会社内で評価が高いサラリーマンなど永遠の比較社会です。
それが海外勤務と言う別の切り口になっただけです。
結局、自分が他者とは比較しないなにかに没頭できていたり、日本社会の重たい空気から逃れ、ある程度の責任と給与で自由に休みとって周辺国を旅行して、ダイビングして、うまいもの食ってれば幸せと自己完結できれいれば、ある意味悩むことなく当初の海外生活をエンジョイできている状態なのかなと思います。
他者と比べ始めたら、日本で働いていようが、どこにいてもなにをしていても鬱屈したループからは抜け出せないです。早いところ幸せと感じれる要因をクリアにしていった方が幸せです。
悲惨と言うのが他者との比較の経済的な豊かさであっても、まだ東南アジアの現地の人と比べると日本人現地採用の給与だとまだまだ豊かな方です。
また、心の豊かさを言うのだとすると、日本の安定したポジションを捨ててまで海外生活と言う夢を実現させて、そこを生きているのですからほとんどの人の心は豊かなのではと思います。
知らぬ間に真に悲惨な状況に陥らないためにすべき行動
現地採用の生活は全く悲惨ではなく、むしろ幸せだという話をしました。
ただ、幸せな状況もずっと続くわけではなく、ゆで蛙のように気づかぬうちに悲惨な結果に陥る可能性があることを理解しましょう。
若さはずっと続かないといことと深く関係があります。
では、悲惨な状況とはなにかというと、現地採用だと日本の年金を払っていないケースが多いので、年金相当の貯金をしていない限り定年後の年金生活ができず、一生労働コースとなることです。
年を取ると病気や身体に不具合が起きる頻度が上がるため、医療費や思わぬ治療費が発生したりします。
海外の弱い保険だとカバーされない可能性もあります。
年を取ると瞬発力も下がりますから、会社で同じパフォーマンスを出すことも難しくなるでしょう。現地採用だと日本人の人数も会社内で少なく比較対象が少ないので、能力の低下に気づかない人が多いです。
例え会社での雇用は死守できたとしても、実際に自分が組織の最年長になって窓際族となってしまった場合、精神的に会社に居にくいという悲惨さもあります。
そういった現地採用ならではの悲惨な状況に陥らない為に、キャリアの棚卸は定期的にしましょう。
健康診断を1年に1回するように、キャリア診断もしないといけないです。
方法の1つは日本の転職エージェントに登録し、自身の能力が海外でも通じるか常に確認することです。
まだ自分のスキルや経験は日本で通用するのかをチェックしましょう。
転職エージェントは無料でキャリア相談をしてくれるので、無料で診察してくれる医者のような存在なのでオススメです。
とはいえ、どこの人材エージェントでも良いわけではなく、あなたの海外経験や英語力を活かせるエージェントに相談するのが良いです。
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更なる1つのメリットが経歴を登録すると企業側からスカウトメールがきたり、非公開求人に巡り合えたりしていいこと尽くしという点。
当然、登録せずとも海外事業案件や駐在案件を閲覧できますが、上のメリットを享受するためにサクッと5分程度で登録を済ませましょう。
ということで、人生のメンテナンスを定期的に行い、悲惨な老後に落ちないように今すぐ行動を起こしましょう。