JACリクルートメントの2016年度決算説明会資料を読んで業績に分析・コメントしてみた。

人材紹介専業で東証一部上場企業であるJACですが、業績はどうでしょうか。

2017年2月に行われた株式会社ジェイエイシーリクルートメントの決算資料が興味深かったので、ご紹介したいと思います。

日本の人口減少による労働力不足を背景にJACのみならず、人材業界はどこの会社も軒並み業績は好調のようです。

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2016年度PL実績

2016年度は、売上高138億円と前年から23.6%伸びており、業績は好調。

当期純利益においては、32億円と前年比で80.4%伸びでおり、会社は急成長を遂げている。

利益率も人材紹介会社だけあって30%前後と高止まりしている。

2016年度BS実績

バランスシートを見ても、流動資産114億円に対して、流動負債が30億円なので潤沢な現預金が会社にはある。

2016年度は流動資産、純資産ともに大きく伸ばしており、PLBSどちらも好調のようだ。

この有り余った預金は、次のページに書かれていたが、「手元預金は、事業投資・配当・不況期に備え、コンサルタントの雇用維持に充てることを経営方針としております。」とあるようで、株主にはあまり配当されないようだ。

株主の50.1%が田崎グループ(田崎忠良20.60%、田崎ひろみ17.39%、一般財団法人Tazaki財団12.11%)、金親晋午氏の10.27%も含むと60%を超えるオーナー企業であるので株主配当に対して声が上がることはないでしょう。

過去5年の売上推移

5年連続で増収増益を繰り返しており素晴らしい結果となっています。

5年前の2012年と比べると2016年は売上総利益が2倍以上、営業利益が3倍以上となっております。

過去5年の従業員数推移

売上総利益が2倍で伸びているのにも関わらず従業員数は1.6倍程度に落ち着いていることから一人当たりの生産性は向上している。

オペレーションが改善されたのか、従業員の労働量が増えたのかは、このグラフからは読み取れない。

経営指針の変化

JACが独自で設定するKPI「PPP&I」であるが、先ほど述べたようにコンサルタント一人当たりの月間成約額は、208万円に増加している。

日本の人材紹介料が年収の30%程度だと思うので、月間208万円成約するには、月間693万円の年収の人を1人転職させればよい計算になる(JACは両面営業のため)。

208万円の月間成約を12カ月繰り返すと、個人としては会社に2,496万円の利益をもたらす。従業員のインセンティブ含む年収を500万円程度だとすると、自分の給料の5倍は稼がないといけない計算だ。

もちろんオフィスの場所代や光熱費、教育費、交通費、アドミンに払う費用などもあるので従業員にはそれ以上の費用が掛かっているわけだが、人材紹介業とはこういった構造の業態であることが伺える。

それにしても、JACのコンサルタントの生産性の上昇は上野グラフを見る限り素晴らしいと思う。

知名度の向上により良い候補者の流入が増えたのか、会社の業務改善、システム改善を行ったのかは分からないが、コンサルタントの労働量には限界があるので、これだけ伸ばしただけでもかなり凄いと思う。

単価の伸びの推移も素晴らしい。元々、高額案件、海外案件に強い転職エージェントではあるが、さらなる強化を図るようだ。

海外関連求人成約額の過去5年の推移

特に顕著なのが海外関連求人の成約額だ。

注力している領域だけあって過去5年で3.8倍の伸びを見せている。

2016年度決算説明会資料のまとめ

上記以外にも退職率の改善(20.0%⇒13.7%)や、各子会社(JAC International & シー・シー・コンサルティング)の課題と施策なども記載されています。

人材紹介業はシンプルなので、総じて言えるのは、「コンサルタントを増やして、コンサルタントの質を上げて、顧客満足度を高める」ことに尽きます。

そんな中、海外案件、高単価案件と注力分野を明確にしたJACは成功を収めることができました。

一方、冒頭で述べたように人材業界全体が追い風の市場であることも念頭にいれないといけないです。以上、分析レポートでした。

競合の人材会社の特徴や業績もチェックしたい方は以下から。

http://sekaishukatsu.com/archives/99

http://sekaishukatsu.com/archives/79