リクルートワークス研究所が2018年3月に発行した「米国の人材ビジネス」におもしろい記事があったので、分析していきたいと思う。
そもそもリクルートワークス研究所とは、「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会を創造する」をミッションに掲げるリクルート研究機関です。
人材ビジネスの調査・分析・情報収集・機関誌の発行などを行っている研究機関ですね。人材ビジネスマーケットの動向を予測するのに非常におもしろい情報を提供しています。
人材ビジネスの世界の売上高
調査によると人材ビジネスのマーケットで最も大きな割合を占めるのが「人材派遣ビジネス」です。
日本だと派遣社員に良いイメージはあまりありませんが、国によっては人材派遣が浸透している国も多く、雇用形態の一つとして受け入れられています。
ただ、ポイントが一つあってこちらは売上高の話であって利益の話ではないです。
会計を少し学んだ方であれば分かるのですが、例えば企業からある派遣社員の給与月20万円分をもらったとします。
企業からもらえるお金であるためその20万円、年間にするとボーナス2カ月とした場合、280万円が売上高となります。
ただし、働いた派遣社員には、数%差し引いて派遣会社は給与を渡すわけです。
例えば5%を派遣会社の利益とすると、1万円が差し引かれて派遣社員の手元には19万円が支払われます。
派遣会社は1万円受け取れるものの、会社のオフィス代や電気代など管理コストがかかります。
そのコストが差し引かれると利益は月8、9千円くらいでしょうか。
一方、売上高の3位に位置する「職業紹介ビジネス」であれば、月20万円の人材を紹介した場合、ボーナス2カ月分だとして年収280万円だとしましょう。
紹介料35%くらいなので、そのレベルの人材を紹介すると98万円の利益となるわけです。
そこには人材派遣会社同様にコストはかかりますが、人材派遣会社の1万円の利益と、人材紹介会社の98万円の利益だと、98倍くらいの利益率の差が出てきます。
利益率の観点からみると職業紹介(人材紹介)ビジネスの旨味は大きいわけです。
ただ、売上高は企業から受け取るお金なので、例に出した同じ人材でも人材派遣の場合は年間280万円の売上と計上され、人材紹介の場合は年間98万円の売上高と計上されてしまいます。
つまり売上高と利益(粗利)は分けて考えた方がいいです。
市場規模のみにフォーカスした場合、会計の処理上「人材派遣ビジネス」というのはシェアが上がるわけです。
MSPとはどういう意味?
人材ビジネスの売上高シェア2位を占めるのが、「MSP」ですが、これは「Managed Service Program(マネージド・サービス・プログラム)」の略で、派遣社員を多数抱える企業の代わりにその派遣社員の調達(採用)やマネジメント(監督、タスク管理などの運営)を行うサービスになります。
人材紹介で言うところの「人材紹介」と「RPO」の関係に近いですね。
RPOで会社が複数の人材紹介会社を使うように、MSPでは複数の人材派遣会社を使い派遣労働者の調達を行います。
派遣会社の選定から請求書の発行まで行うので、企業は本業に専念することができます。
人材紹介ビジネスの今後
先ほどは人材派遣の話をメインにしたが、人材紹介の将来はどうなるだろう。
人材紹介の業種を見ていくと目下、工業、つまり製造業の業種が一番多いが、今後はエグゼクティブサーチ会社の予測だとテクノロジーやライフサイエンス・ヘルスケアの分野が伸びていくと予測されている。
なので、人材紹介会社で専門分野を作るとしたら、「テクノロジー」や「ライフサイエンス・ヘルスケア」の領域が良いかもしれない。
人材紹介は、エグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)が主流になっていく?
上記の表を見ればわかるが、2000年から2012年にかけて、エグゼクティブサーチの売上は人材紹介のそれを超えている。
2010年から逆転しており、その差は大きくなっていっている。
これは、エグゼクティブサーチ市場が拡大したともとれるし、エグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)という採用の方法が世間に広まったともとれる。
いずれにせよ、転職したいと考える候補者と採用たいという単純なマッチングはテクノロジーに取って代わられる可能性は高い。
一方、転職する気がない人の心を動かすヘッドハンティングは、今後もビジネスとして残り続ける可能性はある。
人材紹介の展望で言うと、専門性を持ち、テクノロジーに取って代わられない分野でキャリアを積むのが良いかもしれない。
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